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SaaSの利用 ユーザー側の視点

SaaS(Software as a Service)とは
「サービスとしてのソフトウエア」という意味で、具体的にはインターネット経由でサービスとしてソフトウエアを提供し、ユーザー数に応じてその利用料を徴収する形態のことを指します。

サーバ等ハードウェア、システム開発、ライセンス購入、インストール、運用管理等が不要になるため、中小企業や大企業の非コア業務を中心に普及が期待されています。

90年代後半に、ASP(Application Service Provider)が登場し、中小企業を中心に導入が期待されていましたが、思った以上の普及は見られませんでした。しかし、現在SaaSと名前を改めて脚光を浴びています。

SaaSをサービスとして提供する側と利用するユーザー側の視点が考えられますが、今回はユーザー側の視点で現状を参考図書を元にまとめました。

参考図書 SaaSで激変するソフトウェア・ビジネス ~ソフトウェア業界を揺るがす破壊的イノベーション~


1.SaaS活用のメリット
・コスト削減につながる
・運用管理作業を事業者側に一任でき、社内リソースを割く必要がなくなる
・利用の容易さと迅速性
・初期投資額が少ないため、必要がなくなればいつでも停止できる。柔軟な利用が可能
・バージョンアップへの移行作業が不要になり、最新機能をシームレスに利用できる


2.ASPが普及しなかった要因
・ブロードバンド環境が未整備だった
・ネットワークの接続コストがアプリケーションの利用コストを上回っていた
・アプリケーションの性能と操作性が良くない
・カスタマイズ、既存システムとの連携が良くない
・カスタマイズができず、また単純なインターフェイスの利用が主流だった
・セキュリティに対する不安があった
・自社外に重要データを預けることに対する不安があった
・自前主義の弊害(日本のユーザー企業の自前主義、カスタマイズ思考が非常に強い)

これらの原因により「ASP」は思ったほど浸透しなかったため、マイナスイメージのある「ASP」という言葉を使わず、「SaaS」というネーミングにより関心を集めている。


3.ASPと比較したSaaSの特徴
・インターネット経由での提供を前提として設計され、性能や操作性が向上している
・マルチテナント・アーキテクチャ
複数のユーザーでサーバ、データベースなど、センター側のリソースを共有する
・カスタマイズ性の向上
メタデータによりカスタマイズが可能になり、バージョンアップの際の継承性もある。
・アプリケーション間の連携のしやすさ
連携用APIが公開されている


4.導入の検討分析
(1)コア/コンテクスト分析
「コア業務への資源集中こそが企業の競争優位性を高める方法であり、それ以外の業務(コンテクスト業務)は全てアウトソースするべきである」(「企業価値の断絶」ムーア)

コア業務とは、企業競争力の源泉となり、永続的な差別化を可能にする企業活動のことである。
コンテクスト業務において勝利するアプローチは、「できるだけ標準的なやり方で、効率的かつ効率を最優先して遂行すること」であり、「誰かにとってのコンテクストは、必ず他の誰かにとってコアである」とムーアは唱えている。

競合他社に対する差別化を生みだすコアとなる情報システムのみ、自社で開発を行い、それ以外の差別化を生み出さないコンテクストなシステムは、それをコア業務としているSaaSプロバイダに任せればよい。
(非コア業務においては、高いコストをかけて独自性を追求するよりも標準的なものを使用して効率化した方が良い)

(2)ミッション・クリティカル/非ミッション・クリティカル
ミッションクリティカルとは、万一、停止してしまった場合、直ちに深刻なリスクにつながる企業活動の事を指す。
ミッションクリティカルなコア・システム以外はSaaSのの適用を検討する必要がある。


5.SaaSか自社開発かの判断基準
・コア/コンテキスト分析、ミッションクリティカル性の有無を加えたフレームワークで判断する
・自社のデータを物理的に企業外に保管することを、企業ポリシーとして禁止していないか
・利用を検討しているアプリケーションは、SaaSとして提供されているか
・自社で開発できるスキル、人員を保有しているか
・ソースコードレベルでのカスタマイズが必要かどうか
・既存システムとの緊密な連携が必要かどうか
・インフラやハードウェアの用意があるか
・資本予算から開発費用を捻出するか、それとも運用予算から捻出するか
・アプリケーションが使えるようになるまでに、急を要するか
・データ構造は標準的か
・長期に渡って使用するか


6.TCO(総所有コスト)の要素
・ライセンス/利用料金
・ハードウェア費用
・導入費用(調査、設計、テスト、チューニング、実装)
・統合費用(既存システムとの連携)
・トレーニング費用(システム部門、エンドユーザー)
・ソフトウェアの保守費用
・その他インフラ費用(キャパシティ追加、冗長性、可用性確保)
・運用管理、ユーザーサポート費用
・その他の維持管理費用(パッチ当て)


7.導入留意点
・既存システムとの連携のしやすさ
・セキュリティ
・カスタマイズ性
・可用性、信頼性、性能
・アーキテクチャ
・業務機能
・アドオンコスト
・データの取り扱い
・価格交渉
・プロバイダの信頼性



※本書からユーザー視点の内容について抜粋させていただきましたが、見出しのみの掲載のため詳細が伝わりにくいと思います。興味がある方は手にとってみてください。


経済産業省が、SaaS・ASPの普及促進のための環境整備に対して、2008年度、2009年度に力を入れています。小規模企業に対し、財務会計から税務申告まで一貫してSaaSを構築し、2年間で50万社以上に普及するという目標を掲げています。
経営資源が不足し、ハードウェアの導入やシステム運用が困難な中小企業にはとてもマッチした形態なので、ぜひとも普及に貢献し、中小企業の情報活用につないでいきたいと考えています。

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